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-その3-
ムササビ丼と遭遇する。
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映画のなかの旅人気分を置いて、ひとまず一服。村の小さな食堂に入った。
壁に貼られたメニューを眺めていると、「633美丼」という字が目に飛び込んできた。
む、む、なんだろう。興味津々、早速、頼んでみることにした。
「吾北では、村を走る国道194号線と439号線の数字を足して633美(ムササビ)ということばをキャッチフレーズにしています。
そのことばを借りて作ったのが、この丼。なんか名物をと考えて僕が作ったがです」と語るのは門田俊彦さん(36才)。
一旦、村から離れたものの、10年前に再び村に帰ってきたそうだ。
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「いい意味でも悪い意味でも、田舎故に人間関係の干渉もあって、帰ってきた頃は窮屈にも感じたけど、言い換えれば、それも村の温かさ。
一度村を出てみてわかったこともいっぱいあります」という。
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この丼が生まれて3年目。ムササビ丼は、門田さんのふるさとへの「思いの丼」なのだ。
運ばれてきた丼の蓋を開けてみた。丼いっぱいに、たまごがふわっと広がった格好。
どうやら、ムササビのマントに見立てているらしい。
地元産の牛肉や野菜、波状になったコンニャクを使い、たまごのマントでとじたもので、なかなかのアイデア商品。
「ささやかやけど、僕にできる僕なりの村のPRです」そのことばを聞きながら、なんだか嬉しくなった。
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街にいると、個人の存在の重さをあまり感じられないのだが、村にいると、その一人ひとりの存在感と重さが感じられる。
僕はちゃんとここで生きている。ムササビ丼には、そんな門田さんの主張があった。うまかった。
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(平成9年発行 吾北村村勢要覧「ほのぼの吾北」より)
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